rooney2009-07-02

●最近古書ほうろうという千駄木にある古本屋さんによく行く。夜中の十一時くらいまでやっていて、人文系の学術書から小説に写真集、漫画と民俗学関係の本までたくさんあって過ごしやすいのでとにかく最高だ。奥にはデザインや映画関係の棚の手前に椅子も置いてあって、座り読みもできる。ほんとうに至福。

 今週の火曜日だったかにこのほうろうからすぐにある、以前から気になっていたちゃんぽん屋さんに入った。少ない蛍光灯の明かりが場末感を醸すきったねー店で、アーケードのような黄色いビニールの庇が不忍通りに印象的。店の内側も外側もむき出しのコンクリートなので、土間かタタキのように店舗内が外と地続きな感じがするのがよい。暗めの室内からほとんど窓になっている通り側が目に入るように、厨房から背く。窓越しに見える家々には「これが都心の景色か」というくらい灯かりが少なくて、古い木造の民家とぼろい車庫しか見えない。ここに車線数はひとつしかない車のヘッドライトの行き交いが目の前にときどき光量を増し、流れ、ぼおーっとする。ラーメンよりもやや深めの皿によそわれたちゃんぽんを啜りながらときどき目は窓の外に奪われると、僕の感じているものがどんどん微分されていくような、微速的に引き伸ばされた引いた感じになる。

 以前沖縄で高速道路から幹線道路に下りたときにも、似たような感じを抱いたことがある。基地周辺のアメリカっぽい町並みを、車窓から見えるヘッドライトやネオンの灯かりが流れをもって、スクリーンに投影された映画のように観ているんだろうか。