第245回 丸激トーク・オン・デマンド

女性・女系天皇の是非に関する考察で興味深かったことをいくつか。ちょうど、政治学の授業で扱われていたのでタイムリーだった。

■男系にこだわる合理的説明に、遺伝子を持ってくる議論はあまりいただけない。800年さかのぼれば、縁遠い他人にも血縁を見出せてしまう。“血の濃さ”よりも“系譜線”が重要。

■「とにかく続いている」という「伝統」の重要性を合理的に説明する数少ない方法の一つ。「伝統」を無くしたとき、凡例のなさゆえに何が起こるかを想定できない。想定できない枠組みを新たに設けたとき、「“誰が”責任の主体たるのか」の規定が必要。

■<聖なるもの>をローマ教皇に付託し、王は俗人である西欧的王族に対し、日本の天皇・皇族には<聖なるもの(=カリスマ性を帯びたもの)>という位置付けがある。そのため、女系天皇容認を含めた「開かれた皇室」を目指す風潮は、皇室の俗人化をもたらす可能性が高い。

■この差異から、西欧の王族と皇族の発言の影響力がことなる。憲法で侵犯不能領域を取り決めている西欧では、王族の政治的発言は行われても無視されるが(=約束したのに何言ってんの?)、日本では皇太子の宮内庁批判にすら国民が騒然となる。皇室の政治的発言の抑止は、内発性に基づく帝王学によって担保される。